大阪京都旅行記[2日目]

二条城・京都御所

門というのは向こう側の世界への入口であると同時に額縁である。幕府と宮中、金と朱。力の見える化。

 

四畳半神話大系

黒髪の乙女たちが闊歩する今出川通を東進した私が見たものは「埼玉の小っさいオバハン、鴨川デルタを征する」という珍妙極まりない光景であった。彼女によると「貴方はまだまだ若く才能もおありのようだ。好機はいつでも貴方の目の前にぶら下がってございます。只管進むのです」。その慧眼を信じ、さらに鴨大橋を渡り出町柳や百万遍を通り抜け、時計台や学生の魔窟を横目に近衛通りを突き進むとまた鴨川へ出た。どうやら私は鴨川を永遠に渡り続ける神話に閉じ込められたらしい。責任者に問いただす必要がある。責任者はどこか。

 

龍安寺

どんなに頑張っても一度に全ての石を観ることは不可能と云われてる石庭だけど難なくクリア。そう、iPhoneだからね。
そして何より驚いたのは細川護煕さんが自ら筆をとり奉納された襖絵の龍図、圧巻である。総理在任・議員在籍時はえぇとこのボンボンや無責任など散々言われたが、少なくとも三角関数を馬鹿したり学問を蔑ろにする方ではない。

 

金閣寺

金閣寺というのはいつ行っても呆れるくらい金閣寺である。このレベルの知名度であれば何かもうちょっと「思ったより小さい」だの「案外ボロいね」などあっても良さそうだが、そういうガッカリが一切ない。そのくせ意外性もない。旅行サイトやテレビ特番や友達の写真で見たまんま寸分違わぬ想像と実際のイメージが合致している。これだと小学生の感想でいうところの「ふつうです」である。でも普通ってのは凄いハイスペなのだ。
それでも一つくらい何かヘンテコな部分くらいあるだとろうという嫌らしく眺め回しながら背面に回ると、かっけー2つの突起を発見。このまま金閣が池に向かって発信するジェット噴射口かと目を凝らしてみるとどうやら雨樋である。しかも総金ピカで留め具に足利氏の五七の桐紋まで施してあり丁寧な仕事だ。雨樋を金ピカにした方が目立たないなんてこの建物くらいだろう。調べてみると大正時代に設置されたとあるが1950年の学僧による放火事件より前だからこちらも復元に違いない。全くご苦労様でござる(新右衛門:cv. 野田圭一 )。
蜷川新右衛門ついでの余談だが、往年のテレビアニメ「一休さん」で足利義満が登場するシーンの前で必ず金閣のカットが挟み込まれるので、義満はここに住んでいて、虎の屏風もここにあると子供心に信じていた。

 

京都タワー

幼少期に京都に住んでいた。まだ市電が走っていた大昔の事だが生活圏以外の記憶は勿論皆無に等しい。それでも駅前に聳え立つ京都タワーだけは「美しい」と子供心に惹かれていた。
先日解体が始まった中銀カプセルタワービルもそうだが1960〜70年代の建築デザインに共通するウルトラマン味(成田亨テイスト)が最近のトレンドでもあるからか、この日のタワーもシュワッチと新鮮に見えた。