試験

仲の良いイラストレーターのゴロー(嶋野修充)くんの個展を観に横浜ZAIMへ。色々悩んだ末に彼が導き出したテーマは「悩んでいる様を《みて》もらう」だった。《みて》は、アーティストとして作品を「観て」もらう、であり、イラストレーターとして作風の一面を「見て」もらう、であり、嶋野修充一個人としての現在を親類友人知人他人に「診て」もらう、ことである。白いコンクリ壁にピンが打ってあるだけの会場には色々な色彩で描かれたポートレイトが20ほど並ぶ。
会場に入った人は最初戸惑うかもしれない。彼の個展は会期も後半に入ったというのに未だ未完成だからだ。作品をせっせと描き続けているでもない。展示レイアウトも確定していない。素直に悩み続けている。描いたり描かなかったりしている。止まっては進み、駆け出しては戻る。
そして最後にゴローくんは訪れたボクたちにも問いかける。
「気に入った作品にタイトルをつけてもらえませんか?」
そう、ここに展示されている全ての作品は無題である。作品を描いたときのメモもない。全ての判断は試験官であるボクたちに委ねられる。タイトルは作品と名付け親のツーショットのポラと共にポツポツと貼り出される。すると今度はこちらがみんなに《みられる》立場として取り込まれていく。会場を出る頃にはゴローくんと不思議な一体感を得ているのだ。
試す人と悩む人が絶えず入れ代わる装置を、彼は「悩みながら」作りだしつつある。

絵画展・世間様認定
イラストレーター二級/アーティスト四級 共通一次試験

 
イラストレーター・ゴローこと嶋野修充、
経験と可能性が試される7年振りの絵画展。
 
【前期】平成19年12月28日(金)〜30日(日)

【後期】平成20年1月6日(日)〜11日(金)

【時間】11:00-19:00
    (1月6日は13:00から, 11日は17:00まで)

【会場】横浜・ZAIM 別館405号室(入場無料)