Standing Spring

立春とはよく言ったもんだ。節分に雪が降り、融け出した水分を纏った空気はもう、春の匂いがする。ジョギングコースの途中で渡る小川の勢いのある流れは、冬と決別した如く若々しい。傍らに寄せてある雪は土埃にまみれて汚いが、それだって春へのカウントダウンをする時計だと思えば心踊る。
春は忙しいし眠いし電車は遅れるしロクでもないが、恐れを知らぬ若さと幼さが許される唯一の季節だ。何よりも生命と色彩の躍動が優先されるジョイフルな季節だ。
生物的な成長を終え複雑に絡み合う世界で生きる大人となった今では疲れの種にもなるが、春をくぐり抜けなければ人として成長できないとも、思う。
そんなことを考えながら、今日も走った。
タイトルは大嘘。「the first day of spring」が正しい。