面と向かう

荒木玉緒さんと打ち合わせしたあと、軽く一杯。一緒にやった仕事の思い出話や、これから計画中の仕事について盛り上がる。
特に一昨年前のスリリングな打ち合わせの思い出は、いまでこそ笑い話だが、当時は必死だった。
あの頃、リサイタルやCDの仕事で、どうしても会って打ち合わせしなければならないのに、お互い全く時間がなかった。そこで二人で考え出したプランは「電車の移動時間を打ち合わせに使う」というもの。
荒木さんが東北に新幹線で移動する日、始発の東京駅に向かうのに中央線を使うタイミングがあった。中央線はボクの仕事場の最寄りを通る。荒木さんには各駅停車(総武線ですな)に乗ってもらい、乗車したところで携帯メールをもらった。そしてボクは最寄り駅(四ッ谷)で荒木さんの乗る電車に乗り込み、2駅間だけ(でもみっちり)打ち合わせして電車を降り(飯田橋)、向かいに来た電車で仕事場に戻った。結果、この打ち合わせのお陰で事は上手く運び、リサイタルも成功し、CDも素敵な出来映えになった。
どんなときでも良いものを作ろうと思ったら、ちゃんと面と向かって仕事すべきだ。これはボクと荒木さんの共通した価値観であり、意志だ。
今日も色んな話をしてて二人でつくづく「そうだよねー」となったのもそこだ。ボクはデザイナーで荒木さんはミュージシャンなんだけど、お互い「腕」で食うもの同士、一番大事なのは「信頼感とそれによる人のつながり」に尽きるってこと。大事な所で顔を合わせ、自分の意見は持ちながらも相手の実力を認めて仕事をする。そうしておけば緊急事態になったときに会えなくても、阿吽の呼吸で切り抜けられる。
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