醍醐味

デザイナーやプロデューサーという仕事の醍醐味は、自分が考えた物なりイベントなりを自由に制作出来ることではありません*1
自分たちが制作した物やイベントは、あくまで《装置》であり、まだ仕込みの段階です。それを手にとってくれたり体験してくれた人が、喜んでくれたり、驚いてくれたり、たとえ予想外であっても、何か新しい価値観というものがユーザー側から生まれ共有してもらえて、初めて、ひとつの仕事が完了します。
『時代の気分を創り出す』と言ったらキザですが、それが醍醐味です。しかし、それは常にこちら側(送り手側)にあるのではなく、向こう側(受け手側)にあります。
だから『まだ見ぬ君に恋してる』『会ったことがない親友*2』みたいな気持ちを常に持ち続けていますし、これからも持ち続けていたいものです。
あと作品そのものに関して、制作中に穴が開くほどいろんな角度から凝視していますから、出来上がっちゃった物に対しては、かなり客観的になります。出来上がった時点で、それはもう自分の物ではなくなるからです。愛情はつねに外に向きます。

*1:寧ろ不自由な環境下でいかに遣繰り出来るかの方が大事

*2:by画家のゴロー君