NEW CROWN

さて、平成23年度が始まります。新しい小学校の検定教科書での授業がやっと始まるところですが、さらに平成24年度改訂の中学校の教科書も文科省の検定が終わり、各社公開が始まっております。
で、平成24年版の教科書、ボクも前の職場でアートディレクションをさせていただいたものが何教科かあるのですが、本日はいち早くWEBでも公開を始めた三省堂さんの「NEW CROWN」をご紹介させていただきます。
 

三省堂24年NEW CROWN紹介ページより 
小学校でも今年度から「外国語活動」という授業がスタートになり、特に英語は強化される方向で動いており、小学校との連動という意味でも中学校の英語は新しいタームに入ります。さらに、中学校で学習する英単語も900語から1200語に増え、授業数も週3時間から4時間に増えますので、教科書のボリュームも増えます。(詳しくはこちら!)とにかく、この膨大な情報量をどのようにコンパクトにまとめ、見やすく、親しみやすくデザイン出来るかが、ボクと当時のスタッフとの課題でした。
そして、今回はイラストレーターにもさらにコダワリました。英語の教科書では、学習する生徒たちをナビゲートし、共に成長していくキャラクターが何よりも不可欠なのですが、このイラストを、宗田理さんの「ぼくらの〜」シリーズなどでもお馴染みの売れっ子イラストレーター、加藤アカツキさんにお願いしました。制作の苦労話はココで読む事ができますが、けっして少なくはないキャラクターが、しかも色んなエピソードを過ごしながら、学年を追う毎に成長していくのです(実際、背も伸びて、顔も大人っぽくなっていくのです!)。実に神経を使う大変で膨大な作業を引き受けていただき感謝しきりです。
そして、表紙のイラストは様々なタッチを持ちながら、ファンタジックなイラストに定評のある遠渡譲さんです。これまで長年NEW CROWNは、たむらしげる*1さんの有名なキャラクターを採用してきたのですが、遠渡さんは指導要領が大幅に変わるの機に、新しいイメージへステップを踏みつつ、夢と未来を感じさせるこれまでの方針を継承出来る方を起用したいという三省堂さんの希望を見事に実現していただきました。
遠渡さんに決まったいきさつの中にちょっと面白いエピソードがあって、ボクが表紙のイラストレーターの候補を探していた時に「打ち合わせが密に出来る関東圏にお住まいのイラストレーターさんがいいな」と思ってて、いくつかのポートフォリオ集から遠渡さんを見つけたとき、住所に「日進」と書いてあったので「(埼玉県)大宮(市)か〜、ボクの自宅からも近くていいなぁ」と軽く思ってたのです。
というのも、検定教科書の表紙というのは、表紙が真っ白な検定提出用の中身だけの教科書見本(いわゆる白表紙というヤツ)を文科省に提出してから90日以内に文科省に提出しなければならず、表紙デザインの打ち合わせ開始から、デザインの決定、イラストレーターの選定、実制作、提出用の印刷まで全てですから、思ったより制作時間がないのです。作り手の密なコミュニケーションとスピード勝負なのです。しかも中学校は3学年同時ですから大変なのです*2
で、たくさんの会議を経て、彼にきまり、さぁ、依頼の電話をしようと思って見たら市外局番が「052」とある。あれ、大宮は「048」だよなぁ〜変だなぁ、と思ってよくよく住所を見たら「《愛知県》日進《市》」! あっりゃー、遠いなぁー、仕事受けていただけるかしら〜〜〜!!! と冷や汗をかきながら電話させていただきました。
遠渡さん、著名な方で東京でも個展をされますし、月一くらいのペースで上京されているとのことで、気軽に打ち合わせに来ていただき、レスポンスも早く、非常に助かりました。
とは言っても、印刷リミットで修正した色校正紙を届けに、編集部の方に日進の遠渡さんのアトリエまで出張していただいたり、苦労もかけましたが・・・。でも素晴らしい出来映えですので、結果オーライってやつです。
とにもかくにも、英語の教科書制作は始めての経験でした。デザインワークを進める上でもとても勉強になり、これまた貴重な経験と出会いがありました。いつもながら、この仕事に関わっていただいた皆様に感謝です。

*1:TV Stationの人ですよ〜

*2:さらに言うと小学校は6学年同時、国語なんかは上下巻ありますから12冊同時です。ヒエー。高校は毎年1学年ずつなので、ここらへんはちょっと楽。