最高の褒め言葉

ボクが香川の高校を出たと言うと周りの人に必ず「ここの饂飩は地元の人も唸るから絶対食べに行け」と言われる店があった。親しい友人も、前の職場の同僚も、はては偉い経営コンサルタントの先生までが口を揃えて同じ店の名前を出す。
場所は馴染みの版元さんのある五反田の駅前、店の名は「おにやんま」。あんまり言われるので本日打ち合わせついでに後輩と共に食べに行った。立ち喰いの店である。

感想:普通。
これは饂飩食いにとって最高の褒め言葉である。饂飩というのは讃岐の人にとってはほぼ毎日食べるモノだ。マズイのはもってのほかだが、美味くても「一回食うたら、しばらくエエわ」ではいかん。飽きがこない空気の様な味が良い。饂飩マニアの間ではそのコダワリっぷりが賛美されているが、ここの良いところは、むしろ素っ気なさにある。
饂飩なんて食うものが外にないときに「もう饂飩でエエんちゃうん?」くらいのレベルなのだ。つまり最後の選択肢になるくらいソウルフードだってこと。なので立ち喰いという形式も首都圏らしくて良い。香川だって地元の人間が行く店は大概、流れ式に「並んで頼んで湯がいて天ぷら取って金はらってちょっと腰掛けて食って店出る」くらいの雑な作業なのだ。鉄道が発達してないし、そんなに人がいないから所謂「セルフ」くらいで丁度良い。首都圏であれば駅の立ち食い蕎麦屋くらいのイメージだ。有り難がって食うものではない。
なので「普通」は褒め言葉。毎日食えるという意味だ。