動物の謝肉祭

ボクはパロディとかアイロニーとかそういうものが本当に好きです。真っ向勝負せず、表向きは極めて純粋に明るく振る舞っているものの、その中に強烈な皮肉と批判をねじ込み、本当の意味を判らない相手をせせら笑い、本当の意味が判っても手も足も出せない相手に満面の笑みで握手を求めるという諧謔精神に富んだ表現を好むというのは、本当に人が悪い証拠だと思うのですが、そう言われるなら甘んじて受けようと思います。
さて「動物の謝肉祭」を書いたカミーユ・サンサーンスもそういう人だったようで(やりすぎて孤立した事も多いらしいですが)、とにかくこの作品で純粋に素晴らしいと思える描写音楽とウラハラに自分のライバルや論敵をこの音楽の中で存分にメッタ切りしています。
ちなみにこの曲で彼の餌食になった音楽家は以下の通り
・オッフェンバック ・ベルリオーズ ・メンデルスゾーン
・ロッシーニ ・サンサーンス自身
彼らの曲のメロディを拝借し、本来とても早いテンポで演奏していたものを超遅く演奏したり「亀」、軽やかな妖精のメロディをコントラバスに演奏させたり「象」、自分を含め頭の固い古い音楽家など「化石」だとシロフォンでホネを叩く音を表現させたり。そのほかに、動物の仕草を嫌いな人の描写に見たてたりヘタクソな演奏家を皮肉ったらしいモノ「耳の長い登場人物」「ピアニスト(そのままやん!)」などなど、やりたい放題です。
それでもけっしてあくどい仕上がりではなく、音楽に対する愛情と輝きがタップリと込められていることろがサンサーンスたる所以です。
さて、今回のさいたまファンファーレクラブの演奏では、編曲上の都合により2曲ほど演奏しません。その代わりといっては何ですが、別の曲で穴埋めするつもりです。何を演奏せず、何の曲で穴埋めするかは・・・やっぱり来てのお楽しみ!


さいたまファンファーレクラブ第17回演奏会
日時|2012年10月21日(SUN)13時開場 14時開演
場所|彩の国さいたま芸術劇場 小ホール
入場|無料
曲目|C.サンサーンス:動物の謝肉祭
   久石譲:「紅の豚」より ほか