ボクの知らないボク

高校の恩師に所用で連絡を取る必要があったのでメールを差し上げた所、早速返事があった。高校の恩師と電子メールでやり取りをすることになるとは「パソコン通信」なるものがせいぜい最新だった頃の当時から考えると(しかも高校生でも裕福でマニアックな子たち以外興味すらなかった)隔世の感である。
まぁ、それは良いとして、頂いた返事の中に当時のボクに関するエピソードが書かれており、それがこのメールを読むまで全く記憶の彼方だった話で、しかも、そのエピソードというより、そのエピソードのボクの知らない裏話だったので驚くと同時に切ない気分になった。

卒業の時に、貴君が描いた、●●先生クラス(ボクの在籍したクラス)の全員イラストを、○子から見せて貰ったのを思い出しました。○子がうれしがって皆に見せ廻ってました。

ここ数年、高校時代の同期の友人達と同窓会プロジェクトのために行動を共にしているが、その中で、先に述べた様なエピソードが結構出て来ており、次第に記憶の彼方から色んな事が呼び戻され、色彩を帯び始めた。
正直、高校生時代のボクは周囲の優秀な友人達に圧倒されっぱなしで、全く何事(勉学・部活動・恋愛)にも自信らしいものが持てず、最終的にはコンプレックスだけが積もり積もって卒業に至り、卒業から最近まで長らく高校時代の記憶を封印してしまっていた。
しかし、友人達や先生方に映るボクは、ちゃんと皆とのコミュニケーションを楽しんでいた。勿論女の子たちとも。「駄目で惨めなボク」はボクの中のボクでしかなく、ボクの外のボクは、スクールライフを謳歌している普通の高校生だった。
それなのに、本当に長い間、彼らとの思い出まで封印してしまっていた。これはボクに対する皆の気持ちを蔑ろにしていたに等しい。
当時のボクのコンプレックスなんぞ、それこそ利己的で、過信の裏返しでしかなかった。
本当に悔いている。
・・・・○子さん、元気かなぁ。