武者分類


野口哲哉さんの武者分類図鑑を観に練馬区立美術館へ。ギリギリの最終日。
トランペット奏者の織田準一さんの甥ということで前々から伺っており、今回の展覧会も織田さんを通じて知ったのだが、モチーフ自体が、普段から大河ドラマを見ては「三十二間小星兜」とか「黒糸威二枚胴具足」とか呟いてニヤニヤしているボクのド阿呆な甲冑趣味とマッチングし過ぎており、いつ行こうと思っていたらもう最終日。締切りをかなぐり捨てて行って来た次第。
架空戦記という小説分野があるが、特に闘っている訳でもない甲冑武者たちの異常なほどに詳細に作り込まれた架空の史実を活写した作品群は今まではなかった。イチイチ間抜けでユーモラスなのに、イチイチ合っている歴史的な整合性の可笑しさ。モノホンの甲冑の研究者がマジで唸るくらいだから、ただの甲冑マニアのボクに至っては驚嘆して歓喜乱舞する子細の出来映え。その甲冑たちに信憑性を持たせるために作り込まれた、まことしやかな屏風絵・古文書・明治期の解説書の数々。21世紀に制作された数百年前の遺物。
呆れるくらいのクオリティ。諧謔精神の極み。そして人の温かみと哀愁を感じる。
甲冑というのは武具ではあるが、命を守る為の道具。そういう所に野口さんの思いがあるのだろう。全く以て同感である。

野口哲哉ノ作品集 「侍達ノ居ル処。」

野口哲哉ノ作品集 「侍達ノ居ル処。」