火宅


今、能楽「求塚」について調べていて、改めて書庫から川本喜八郎作品集のDVDを引っ張り出してきて《火宅》を観ています。
原作は全く救いようのない話ですが、川本作品は回想として描かれる後シテの菟名日処女(うないおとめ)の姿を娘の姿のままにし(能楽では痩女の面をつける)、旅の僧(ワキ)の読経に救い(のようなもの)を見出だす演出が施されます。これはあくまでも川本さんの解釈なのですが、特に昨今の世相に足りない『赦し』の精神なのではないかとも思うのです。
それにしてもアニメーションと語り(観世静夫)と、そして音楽(武満徹)の素晴らしさに、何度観ても唸ってしまいます。