能楽とクラシックと色彩と

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ここ数年、年に一度は能楽の公演フライヤを手がけているのですが、これはとても良い考察。
特に、人が感情や体調や性格や年齢よって肌の色が変わって見える(血流量や酸素飽和度等の変化)という説に着目し、最少限度の舞台装置で世界観を成立させる能楽という表現の、キャラクタ描写と装束の色彩選択との関係性を指摘している点はなかなか興味深いです。
演奏会場の舞台装置に頼らないクラシックのリサイタルにおいても視覚表現というのはとても大事です。どんなに「聴衆には演奏に集中して欲しいからスタンダードに燕尾で舞台に上がる」といっても、それ自体が『かしこまったクラシック音楽』というフィルターを与えてしまいかねないからです。
例えば衣装や身に着ける小物選び一つにしても、公演季節や個人的な好みだけではなく、演奏する曲目の内面に迫るのであれば、演奏曲や公演テーマにおける色彩的な性格や文化背景も考えてみると、より深みのある表現が出来るかもしれないわけです。
公演の告知デザインも同じで、こういった背景の知見を得ているか否かで着彩計画も変わり、結果的にリサイタルに対する印象に大きな影響を与えることになります。