書店にて『デザインのひきだし41』購入。素晴らしすぎる付録もさることながら、俺がずっとずっとずっと知りたかった帳簿製本のことが載っている。
マーブリングや天金加工や、背クロスやコーネルなどの継ぎ表紙が施された装丁は、子供の頃はすでに古くて豪華な本にしかお目にかかれず、ブックデザインの仕事を四半世紀もしているのに今まで手がけた事がないので、こういう造本には憧れます。
特に帳簿製本は通常の製本過程とも違う独特なかがり方も興味深く、また帳簿製本のマーブリングには意匠的な意味だけでなく情報漏洩を防ぐ意味もあったとは驚きでした。
帳簿やノートや楽譜など『使う』タイプの造本の深みを感じましたよ。書き込んだり、何度も同じ場所をめくったり、開いた状態のまま手を離す必要があったり、様々なミッションに耐えるための工夫の積み重ねが製本・造本のテクノロジーにはあるのだなぁ。
今まで様々な版元さんで、色んな上製本や、仮フランス装なども体験させてもらえたのは貴重な体験だったし、今でも時々ディレクションさせてもらえる語学辞書ではビニールクロスの色自体をオリジナルで作ってもらえる時もあって楽しい。
とはいえ、実際の仕事的には圧倒的に並製本を手掛けることが多く、また上製本であっても版元の予算的な事情から、資材選び以外はあまり自由に踏み込めない領域だけど、いざチャンスが巡ってきたときにちゃんとバットが振れるように、こういう知識は大事。