パラレルキャリア

知り合いの音楽家にパラレルキャリアが増えている。オーボエ奏者で葡萄農家、トランペット奏者でボディビルダー(世界タイトル保持者)、ピアニストでカメラマン、指揮者でお笑い芸人、ホルン奏者でアレクサンダーテクニーク講師。「一つを極めてこそ」という目線だけが一流の働き方や人生ではない。

海外にはバリトン(ホルン)奏者で弁護士とかギタリストで天文学者とか歌手で大型航空機のパイロットという人もいるし、過去にはオルガン奏者で医者とかピアニストで首相だった人もいた。専門領域を複数持っている強みは視点の多さだ。思慮深くなる。双方の分野に良い影響が必ず出る。

翻って自分を見ればかなり不安だ。近隣領域を浅く広めにカバーはしているものの広義にグラフィックデザインと一括りにできるモノばかりだからだ。ないものねだりかもしれないが、やはりもう一つくらいは専門領域を持ちたい(音楽は今も仲の良い指揮の師匠に才能ナシの太鼓判を頂いているので除外笑)。

今となってみれば人類学もせめて修士くらいは修めておけば良かったと感じている。

さらにいうと今の専門領域であるデザイン(やイラスト)は一切専門教育も受けず部活動関係もせずに学生時代にいきなり仕事を始めその後はデザイン事務所のバイトからのキャリアなのでモグリ感がパナい。美大や専門卒の仕事仲間が学生時代や教わった巨匠の話をしているのを聞くだけでも未だ肩身が狭い。

やっぱりないものねだりなのかもしれない、自分の根っこもないから。

[気を取り直して]それ以外のことが出来ないという不器用さもあって僕はデザイン業でここまでやってきましたが、それだからこそ、皆さんそれぞれかなり悩んで辿りついているのでしょうが、結果パラレルキャリアとして活躍されている事を羨ましくかつ頼もしく思うのです。