父親のお腹を見て育ちました

ボクが子供の頃、父親の腹はカッコ良く割れていた。ずっとそう。今は還暦もとっくに過ぎ、それなりに年老いて筋肉は落ちてきたものの、相変わらず腹は出ていない。去年温泉に一緒に入って確認済みだ。
20代のボク、父親がそうなのだから放っといても自分のプロポーションは保てるのだと思い込んでいた。emixにもそう言って根拠のない自慢をして結婚した。
が、違った。
齢を重ねるにつれ運動不足のデザイナーの腹はどんどん出っ張っていった。元来、余り沢山食べる方ではないので世に言う肥満体型にはならなかったが、腹だけがポッコリ出てきた。コレが実に貧相なのだ。去年2月ハワイに取材に行ったとき、服も脱がず、海に一度も足さえも浸けなかったのはそのポコッ腹のせいだったコトをここに告白する。
「オレのカラダはカッコいいままなのだ」こんな嘘っぱちなマニフェスト(そういえば週末は選挙ですね)をemixに公言したボクは離婚の危機もカクゴせざるを得ない。そういう訳でダイエットに踏み切った訳でもないのだが、去年の春からジタバタとイロイロやってみて、かろうじて20代のプロポーションにほぼ近いところまで戻せた。ここでハタと気づいた。
ボクが子供の頃、思い出せる休日の父親はスポーツをしている姿ばかりだ。年齢にしてみたら今のボクと10も離れていない。
土曜日、半ドンで夕刻帰ってきてからはゴルフの素振りをし、ボクや弟とキャッチボールをし、夜はママさんバレーボールの指導に出かけた。
日曜日、ゴルフのコンペや町内のソフトボールの試合がないときは、打ちっぱなしに出かけていた。そうでなければボクと弟の特訓をしていた。いつだか父親にバレーボールの指導を乞うたとき、受けたレシーブが本当に重くて2、3日ヒリヒリしていたことがある。キャッチボールだってちゃんと捕らないとシャレにならない目に遭う。芯が無茶苦茶通った球。ただ、コントロールが恐ろしく良かったので構えていればミットにボールが吸い込まれていくのだが。
コンペの日は朝早くから家を出て行ってしますが、夕刻帰ってくると大体何か景品をもらって帰ってきたので腕はよかったのだろう。いつだか自転車を貰ってきて家族で驚いたことがある。
平日だってボクと弟を連れて少林寺拳法の道院に通っていた。しかも週2回。
 
つまりあのボディはトレーニングの賜物だったわけだ。本人は「スポーツが好きだから」と笑うが、改めて書き出してみたら尋常ではない。今日も電話したら、カラダだけやなくて歯茎も鍛えんとダメなんじゃと諭された。父親にはまだまだ勝てそうもない。