Rookie

坂上知佳子ユーフォニアム・リサイタルを聴きに大泉学園・ゆめりあホールへ。
坂上さんは外囿祥一郎さんのお弟子さんで、今春大学を卒業したばかりです。今回が初のリサイタルとなります。
ボクが彼女と知り合ったのは、まだ彼女が大学一年生の冬だったと思います。年末に外囿さんに焼肉をご馳走になった時、「弟子も来ますがいいですか?」と言われてやってきたのが彼女でした。ジージャン&ジーパン姿でユーフォを背負って現れた彼女は、そのスラッとした外見に反して食欲旺盛。「コイツ、僕と同じ鹿児島出身ですから、よく食べるしよく飲むんですよ。」と外囿さんが嬉しそうに言っていたのを思い出します。その時は大学の寮生活について面白可笑しく話してくれました。
その後は外囿さんのレコーディングのアシスタント・スタッフとして参加していて、会う度に綺麗になっていくので、女性ってのは不思議だなぁと思ったものでした。その時も「坂上、上手いんだから僕の代わりに吹く?」と冗談まじりに外囿さんは言ってましたが、今日の今日まで彼女の音を聴いたことはありませんでした。
ホールは知人や大学関係者ばかりだったのでしょうが、立見が出るほどの盛況で、彼女の人柄と周囲の期待が伺えます。ステージは始終緊張しっぱなしでしたが、女性らしい柔らかな音色に、ホカゾノ仕込みの渋く深い音楽性の片鱗が感じられる手堅い演奏でした。
今日から彼女は音楽界の海原に一人で漕ぎ出してゆかねばなりません。音楽性、人柄、アイデア、そして運をフル稼働して自身のキャラクターを作り上げ、一人の音楽家として業界に食い込んでいかねばなりません。音楽の世界に空席はありません。こじ開けるのです。不安の連続だと思います。
しかし、アンコールを終え、笑顔でバックステージに帰っていく彼女の背中に、その決意を見た気がしました。
応援してますよ、ルーキー!