ストラディヴァリウス

otoshimono2007-09-10

東京オペラシティコンサートホール開館10周年記念演奏会に行ってまいりました。このコンサートはオペラシティの賛助会員と友の会会員のみが入れる限定公演ですが、日頃一緒にお仕事をさせていただいている関係でご招待を受けたのです。演奏会が始まる前にホワイエでレセプションがあり、ワインやオードブルなどでのおもてなしを受けた後、コンサートが始まりました。
本日は庄司紗矢香さんと佐藤俊介さんによるヴァイオリンと林絵里さんのピアノによるベートーヴェン、フランク、モシュコフスキの作品の演奏です。
特にヴァイオリンは二人が日本音楽財団から貸与されているストラディヴァリウス「ヨアヒム」「ドラゴネッティ」を使用してのものです。
ボクはストラディヴァリウスの生演奏を聴いたことがなかったので、普通のヴァイオリンと何処が違うのか分からないだろうと思ってました。が、実際全然違いました。
それは庄司さんがチューニングするためにA線に弓を軽く触れたその時です。明らかに触れただけのピアニッシモの音がフワッと響いてホール全体を包み込んでしまいました。まるで天使の羽がついているかの様に。庄司さんは勿論世界的なソリストですが、それは楽器自体から発せられる魔法としか言いようがありません。ボクはそのチューニングの音ですっかり虜になってしまいました。
何と言っても圧巻だったのはモシュコフスキの二重奏曲です。庄司さんの凛とした音、佐藤さんの深くスケールの大きい音が主張し合い溶け合いながらピアノとの絶妙あアンサンブルを聴かせていました。20代の二人が300歳のヴァイオリンを奏でています。世界中の舞台を踏んだ経験豊かな若者が、瑞々しい奇跡の音を持つ老楽器と共演(饗宴か?)をしているのです。時を越えた豊潤な響きに、喝采は鳴り止まないのでした。