チョコ浦和

ニオイ付き消しゴムってあるよね。
しかもチョコレートとかキャラメルとかお菓子のニオイのするやつ。
あれ、形もそっくりなものだから本当に美味しそうだもん。
小学生の頃、お腹空いちゃって誘惑に負けてかじったらマズかったね〜。
マジ莫迦な子だね〜。
そういうニオイで満たされてたらさぞ幸せだろうと
子どものころは思ったもんだけど
あれって小さな消しゴムから出てるニオイだからいいんだよね。
そのニオイが大気中に充満してたらスンゲー気持ち悪いんだって
知ったのは大学入ってこっちきてからだったね。

とある夏の夜、冷房ガンガンの通勤快速電車に乗って
バイト先からボクは帰宅していた。
ボクの降りる駅は各駅停車しか止まらないので
途中で乗り換えなければならない。
それに冷房が苦手なボクは一刻も早く寒い電車から降りたかった。
「むさしうらわ〜」というアナウンスとともにドアがプシューと開く。
ボクは勢いよくホームに飛び出した瞬間
もわ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ん
うわーなんだこの大気は!
熱気を伴った異常な甘ったるい空気を肺一杯に吸い込んだボクは
マジで気持ち悪くなって足がよろめいた。
チョ、チョコレートの国??
ここはJR埼京線武蔵浦和駅。ロッテの浦和工場があります。
あの有名なガーナチョコレートやコアラのマーチを作っている
チョコレートの総本山。
チャーリーは本当にこんなところが好きなのか*1
クララはお菓子の国に招待されたのが冬でよかったね*2
知らんかった、
いいニオイってのはほのかに香るからいいニオイなんだ・・・
強烈なチョコ浦和に放り出されたボクは始めて
想像の世界をリアル化することの危険性を知った。
 
で、あれから10年も〜〜っと経った今日もチョコ浦和は健在である。
今日ももわ〜んとチョコ大気がトロトロと駅のホームを包んでいる。
人間とは恐ろしいもんで、そういうもんだと思うと慣れてしまう。
ってもボクは通り過ぎるだけだからなぁ。
暑い空気は上にたまるからなぁ。
駅前のタワーマンションに住まう人々はたまらんだろうなぁ。
干すとチョコ風味の布団やパンツになっちゃうんだろうなぁ。
っていうかタワーマンションって外に布団干せるの?
まぁいいや。