高校生女子は吹奏楽のCDなんて買わない

今年も事務所に高校生が職場体験学習に来た。予め決められたコースの中から選べるらしいのだが、何故か女子ばっかり10名。男子に人気ないんだろうか、デザイン業。てか男子はどういう所に行くのだろう。ゲームメーカーとかだろうか。というか、ソモソモどういう職場見学のラインナップなのだろう。
で今回、吹奏楽部デスってコが3名もいたので吹奏楽関係のCDの仕事なども紹介したのだが、ちょっとキョトンとしている。
「東京佼成ウインドオーケストラって知ってる?」
『知ってマス。有名ですよネ。』よしよし。
「じゃあ吹奏楽とかオーケストラのCDを買ったことは?」
『アリマセン。』「3人とも?」
『ハイ』ふぃ〜ん。
「そうかー。じゃあ新しい譜面配られたときの音源*1ってどうしてるの?」
『先生やレンタルショップから借りてマス。』
なるほど。
「でも自分では買ったりしない、と。」
『ハイ』
 
今や、高校部活業界的には吹奏楽は女子のものである。
男子は野球で目指せ甲子園、女子は吹奏楽で目指せ普門館だ。
彼女たちも御多分に漏れず毎日夏の吹奏楽コンクールに向けてビシビシ練習しているそうだ。
けど、CDを買ってまでオーケストラや吹奏楽を聴いたりしない。分析するに・・・
 
:そもそもCDを買うお金がない。
:吹奏楽は演奏するものであって、聴くものだと考えていない。
:部活が好きなのであって音楽が好きな訳ではない。
:そもそも趣味ではない。
 
は最も当たり前な理由。子供なんだから、お小遣いくらいしか資金がない。部活一所懸命なんだからバイトなんて出来ないし。
は、つまり心打たれるような演奏や演奏家に出会うきっかけがない、ということ。だから普段テレビなどから流れてくる音楽の方が圧倒的に魅力的に感じる。これはそういう機会を与えられない教育吹奏楽に関わる大人たちの姿勢の問題もありそうだ。
はその年頃の世界観とも絡む。学校という限定された環境で過ごす彼女たちにとって、部活、自分の学年、担当楽器、部活での役割(部長やパートリーダーなど)は、高校生活を楽しむために自分のキャラとして必要な記号に過ぎない。その記号をフル活用しながら、友達と仲良くしたりケンカしたり、笑ったり泣いたりしながら、目標に向かって頑張ったり、サボったりするのが醍醐味。先生から配られた楽譜は、やがて思い出となる出来事であり、将来に渡って付き合っていく音楽の糧ではない。
は嗜好性の問題。そういえば、ボクが高校生の頃だって、部活や楽器の練習に熱心なコは沢山いたけど、吹奏楽曲やオーケストラの演奏を熱く語るコはいなかった。
 
決して要因は一つではなく幾つか組み合わさってると思うけど、まぁつまり、そういう訳で高校生女子の殆んどは、吹奏楽やオーケストラの演奏には興味がないのだ。
もし、ボクの様に明けても暮れてもハルサイ*2を聴くような高校生女子がいたらどうなるか。それは、小寺さんみたいにプロのユーフォニアム奏者になっちゃったりするのだ(本人談*3)。

*1:実はこの用語嫌い。アーティストの仕事を資料としか受け止めてない感じが。現実そうなっちゃってる教育吹奏楽業界の姿勢が一番の問題。

*2:ストラヴィンスキーの「春の祭典」詳しくはid:otoshimono:20080612

*3:ボクの日記を読んだ小寺さんが、「私も高校生の頃ハルサイはまったんですよ〜!」って教えてくれました。