ヨシミコとカレーライスとビール

ヨシミコこの前の撮影でアシスタントをしてもらったメシギャラ*1でカレーライスを振る舞う。プティフ・ア・ラ・カンパーニュというそれはそれは素敵な欧風カレー専門店。
ヨシミコは寝ても覚めても撮影現場でも海水浴場でもカレーばかり食べている女だ。半分はカレーで出来ていると言ってもいい。もう半分はたぶん酒だ。
映画を撮った後でもライター稼業で食っていくにはまだまだ大変らしく、バイトなどもしながらチョコチョコ来る細かい仕事をしたり、シナリオコンクールに応募したりする毎日だ。そしてカレーと酒。
彼女の場合、生活のすべてがネタになる。派遣で行った某大手企業の社長秘書室でのイジメ話だって、昼間っから酒かっくらってプラプラすることだって何でもだ。ただ浮遊するのではなく観察し分類し吸収する。そして書く。書かねばならぬホトトギス。
「兎に角くたばらず書いて最後まで生き残れば大御所になれるからサ。今はどんどん書かなきゃね。ある日突然どんな大きな仕事がトンデモない納期で来ても『出来ます!』って根拠ない自信で言えるようにね」ってボクが言うと
「五年後にはジャガー乗ってみんなを見返してやりたいですからね。で、ジャガーって前にライオンのフィギュアが付いてるクルマですっけ? そんくらいしか知りませんけどマァお金持ちったらジャガーってことで」
ウンウン頷きながらビーフカレーを旨そうに頬張りビールを飲み干すヨシミコを見て少し安心した。

*1:ギャランティをご飯でお支払いする事。「夕ご飯おごるからさ!」で仕事などを手伝ってもらう。後輩などに通用する裏技。