大人の役目


明日、さいたま市桜区のプラザウェストさくらホールにて開催されるはずだった「埼玉大学吹奏楽部打楽器セクションによる第4回打楽器アンサンブルコンサート」は震災による社会的状況を踏まえて中止となりましたが、本日同会場にて、関係者のみのクローズドで開催されました。ボクたちは学生よりご案内を頂いたので聴きに行って参りました。
公演中止は苦渋の決断だったと思いますが、こういった形でも発表の場を迎えられた事は重要だと思います。コンサート会場には打楽器以外の部員を始め、親御さんたちの顔もあったようです。メンバーのご実家の中には被災された所もあるようで、それを乗り越えて笑顔で演奏している姿を見て少し安心しました。
終演後に、パートのトレーナーであり、多くの巨大な打楽器も提供され、コンサートにも出演された、打楽器奏者の小川佳津子さんと少しお話をさせていたきました。「やっぱり一年間、この子たちは、この日のために練習を重ねて来たんだし、特に卒業生はこれが最後なんだから、どういう形でも発表の場を作ってあげないとなぁって思ったんですよ」と生徒を気遣う思いに溢れた言葉にグッときちゃいました。
プログラムの冒頭の挨拶には被災地への哀悼の意が述べられた後、こうあります。「ほんのひと時ではありますが、今回のコンサートを通して、少しでも皆様に元気と笑顔を与えることができたら、幸いです。」
そう、こういう時こそ若者は元気と笑顔を分かち合い、未来を作る原動力を養わなければなりません。それは不謹慎でも何でもない。
今、被災地への配慮や電力供給の関係から、被災地以外の中高生や大学生の吹奏楽部などの公演が次々と延期や中止に追い込まれていると聞きます。しかし、被災地ではない地域で暮らす我々大人は特に、子供達の努力や、やる気や、笑顔まで奪ってはならないと思うのです。大人は非常時であれ、可能な限り子供たちの成長の成果が報われるようにバックアップをするのが社会的な責務です。
本日も会場は15時20分からの計画停電のため、開演時間は異例の正午となりましたが、これだって実現可能な方向にもってくためのポジティヴな努力です。
震災で大人だって心配かもしれませんが、子供たちに「心配するな、やってみろ」というのは大人の役目です。
そういう意味で、彼女の生徒に対する愛情に感激した一日でありました。