もろびとこぞりて

ボクはキリスト教徒ではないけれど、中高生の頃はお父様が牧師をされている友達の教会の日曜礼拝に遊びにいって讃美歌を歌ったり、クリスマスイヴにはクリスマス礼拝に出かけたりトロンボーンを持って吹奏楽部の友達と一緒に信者さんの家の前でクリスマスキャロルを演奏したりしていました。振り返れば、かなりまともなクリスマス体験をしおります。
さて、繰り返してボクはキリスト教徒ではないといいますが、宗教的に無関心なのではなく八百万の神を等しく信仰の対象として受け入れる日本の風土も好きです。世界にはエラい人や神様が沢山いらっしゃって、皆が平穏に暮らすことについて真剣に考えているし、皆もそれを慕っている。素敵なないですか。
さらには、音楽に関わる仕事や趣味を持つ者として、音楽の発展に計り知れない影響を及ぼしたイエス・キリストという方の生誕を祝うこの行事をボクはかなり素直に受け止めます。
 
まぁ、それは良いとして話は30度くらい変わります。
日本基督教団讃美歌委員会編集の讃美歌112番〈主イエス・キリスト 降誕〉は「もろびとこぞりて」という有名なキャロルです。この作曲者はジョージ・フレデリック・ヘンデルと記載されていることが多いですが、この讃美歌集を見ると『Arr. from Georg Friedrich Händel's The Messia(?)(1742) / Lowell Manson is credited with the arrangement(1836)』とあります。
つまりこれはローウェル・メイスンというアメリカの讃美歌の基礎を築いた音楽家の方がメサイアの中の主題を使って自由に作曲されたものらしいのです。
そのメサイアの中の主題というのが


ということです。
つまり冒頭の部分の音形以外はまったくメイスンさんの創作な訳ですが、いかにもヘンデルが書いた風な仕上がりを見せている所に「この方、ヘンデル大好きなんだなぁ」と思わざるを得ません。
特に「しゅはきませり〜しゅはきませり〜」の部分なんか完全にヘンデルになりきってて、終始ヘンデルなティンパニのリズムが脳内鳴りっぱなしですもんボク。水上の音楽なんか25曲くらいあるんだから、器楽曲としてコッソリ入っててもバレませんよ、絶対。
という訳で、本日も営業日なのですが、キャロルやバッハのクリオラを聴きながらクリスマス気分を満喫しております。
ちなみに先日話題に出た斎藤秀範さんが古楽トランペットで出演されるバッハ・コレギウム・ジャパンのメサイアは先日はさいたま芸術劇場、本日はサントリーホール、明日は軽井沢大賀ホールにて公演です。