海彦山彦

数日前にレオス・キャピタルワークスの藤野英人さんのお話を聞いて参りました。主に日本経済の動向と投資信託の内容でしたが、中でも「日本は海彦属性と山彦属性がその時代時代で入れ替わって歴史を紡いできた」という歴史観が興味深かったです。
外交的で新しい物好き、フラットな組織を好み、金融・貿易業に強い海彦。
内向的で保守派、強固なピラミッド社会を好み、製造・生産業に強い山彦。
そして常に中国に動きがある時は海彦が働き、そうでない時は山彦が働く。
おおまかに言うと、遣唐使、日宋貿易、日明貿易、明治大正期は海彦の時代。平安初期、鎌倉期、江戸期、昭和〜平成初期は山彦の時代。で、中国が活発で、日本の内政が行き詰まっている昨今では、また海彦の時代が来る。フラットでワールドワイドに行動出来るノマド型な若いベンチャー君たちが日本を引っ張って行くであろうと言う話。
実際の古事記(日本書紀)の海佐知毘古(海幸)と山佐知毘古(山幸)の伝承はそう判りやすい属性でもプロットでもないので、藤野さんの言うところの海彦山彦の名は彼独特なキャラクタライズとして捉えるとしても、先行きが明るくなる話である。
学者の如くチマチマと隅を突けばとても乱暴な歴史観だけれども、天然資源の少ない日本にとって、海外の知識や資材を取り入れることによって現状を打開するスタイルと、既にある資源とマンパワーを有効活用しながら外圧に負けない力を持つスタイルを繰り返して来たのは事実である。
今、日本の大学は今までにないベンチャーブームなのだそうだ。学生がPCひとつ、スマホひとつでどんどん起業しているとのこと。実際大学で講師をされている方が言うのだから間違いのない情報である。さらに今までの学生の起業と違うのは優秀でない学生が「就職出来ないから仕方なく起業する」のではなく、停滞する山彦大企業に未来を見出せない優秀な学生が「就職するくらいなら、自分で世界を変えていこう」という気概で起業しているというのである。彼の予想だと数年後には和製マーク・ザッカーバーグの出現だって夢ではないと言う。
山彦時代に起業して足を引っ張られた元祖IT海彦の堀江貴文氏が社会に復帰してくる数年後には、日本の風景はどうなっていることだろう。

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