マッチング


金管まつり2012〈ベストテン〉当日でした。おかげさまで満員御礼。演奏会のレポートはこちらをご覧頂くとして、少し別の角度から感想を述べたいと思います。
ボクが、こういったアマチュアによるフェス系のイベントを企画立案・実行していくにあたって、最近念頭に置いていることがあります。それは「参加者とお客様の両方の満足度がマッチングするポイントをいかに拾い上げるか」ということです。
金管まつりの例で言えばこうなります。このイベントは『金管楽器魅力をコンサートを聴きにくるお客様に伝える事』『参加者同士の交流の輪を広げること』という2本の柱で成り立っています。まず主管であるさいたまファンファーレクラブはそこにご理解を頂ける団体にのみお声掛けさせていただいてます。
とはいえ、参加者(団体)はアマチュアです。突き詰めて行けば個人の趣味で演奏活動を行っていますから「演奏することを楽しみたい」という欲求が個々人で高いわけです。
またこのイベントは入場無料のイベントで、入場資格の制限なども一切しておりません。小さなお子様連れの方でも、ご年配の方でも、お身体が不自由な方でも、何方でもご来場いただきたいと思っております。結果なのですが、「(例え音楽に詳しくなくとも)気軽に生演奏を楽しみたい」という欲求が高いお客様が多くご来場されます。
演奏者の方は日頃の練習の成果を腕試ししたい訳ですから自ずと凝った選曲を好みます。一方、来場者は方の力を抜いて鑑賞出来る入門的な音楽や自分にとって馴染みの音楽を好まれます。
これがプロフェッショナルの有料公演であれば、主催クライアントの意向や顧客のニーズやマーケティングに沿ったアーティスト・選曲・価格帯の企画をプロダクションとして制作しペイさせなければならないのですが、アマチュアの無料公演です。金銭という対価が発生しない以上、両方の金銭でない心理欲求を満足させなければイベントとして成功ではありません。
そこで、参加者(団体)には自由な選曲をしてもらう代わりに、演奏中の出入りや組曲の楽章間での拍手など公演マナー的にはNGとされるハプニングについては目をつむっていただきます。そして打ち上げレセプション等、団体やメンバーの交流がはかれるような機会をご用意させていただいております*1
お客様には多少退屈に思われるプログラミングがあったとしても、要所要所に金管楽器のマメ知識的なコラボレーションや肩の力を抜いて聴ける内容の合同演奏、幕間の演奏などを企画させていただきますし、各団の演奏につきましても「世の中には古今東西、色んな音楽がある」ということを知っていただける良い機会だと思っています。(とはいえ、出演団体で組織される金管まつり実行委員会ではコンセプトからは大きく離れない選曲をなるだけ心がけています。)
そうやって出演する人と聴く人の、お互いが守れる暗黙の約束事へ向けてのガイドラインを作っていくのが、イベント企画者としての役割であり、醍醐味であると思います。もちろんこの企画に関わる全ての人々の多大なるご協力とご尽力があってのことです。
今回の満員御礼はプラザウエストが普段から地域の皆さんに親しまれて利用されているというロケーションとホール共催という機会に後押しされて、金管まつりのコンセプトがマッチングした結果だと思ってます。大変感謝しております。
何はともあれ、10年目にしてやっと実現出来た満員御礼。さらに皆にとって心地よいフェスティバルになるよう実行委員会のメンバーと共に歩んでいきたいと思います。

*1:この部分の話につきましては次のエントリで書かせていただきます