BACARDIを呷りながら。


ソニーの乃木坂スタジオで外囿祥一郎さんと次田心平さんのレコーディング取材の後、休憩しによった東京ミッドタウン内の公園でBACARDIのカフェが夏季限定で開設されているので入ってみた。
今日は近頃の中では風もあり、暑いながらも爽やかな日和だったので、こうして屋外でモヒートを呷るのは格別に美味い。すぐ横では今や世界的アーティストのハチュー君*1こと高橋信雅さんがデザインを手がけた、これまた夏季限定のアスレチック施設で賑わっており、終戦記念日でモノモノシイ都心とは思えない楽しい光景だ。

ここは豊かで美しく、社会の負の部分が全く見えない。緑ひとつにとっても余計なゴミや枯れ葉ひとつ落ちていない。小川はどこまでも穏やかに公園内を流れ、陽の光がキラキラと映り込む。それはすぐ目の前の天まで届く高層ビルも同じ。ここには商業施設やホテル・オフィス・住宅まで備わる。地下鉄と高速道路がすぐ傍を縦横無尽に駆ける。子供達の歓声、大人達の洒脱な会話、行き交うペット達までが余裕の表情を浮かべている。

この六本木という場所は、本当に浮世離れしていると思う。震災があった2年前でさえここだけは何事もないように豊かだった。多分『金で手に入る』考えうるだけの物欲による豊かさがここにある。良い意味でも悪い意味でも〈地球へ…〉に出てくる管理された大人の社会や〈銀河鉄道999〉の機会化人間の住むメガロポリスに酷似している。人々はこの物欲の桃源郷の出現に警鐘を鳴らし続けながらも遂に実現させてしまった。
この豊かさを享受出来る事は幸せである。しかし常に何かを犠牲にしている。それは多くの他人かもしれないし、自分自身かもしれない。そんな危険なバランスを保つセレブリティの聖地。
砂上の楼閣、幻の桃源郷。それでも耽美にして脆い世界に人は憧れ続けるのだろう。

*1:仲間内での渾名です