旅商人


ボクが独立した頃に南与野の駅前で珈琲を淹れていた旅商人・拓さんが久しぶりに地元にいるというので、買物の帰りに珈琲を飲みに行った。
初めて会ったとき、彼は「これから相棒と日本を一周するんですよー」言っていたんだけど、その後、相棒の旅商人カメラマン・亮章さんは、カメラマンをしながらスケボーで日本一周をし、拓さんも北は仙台から南は沖縄まで珈琲を淹れ、各地でボランティア活動をしながら日本中を回っていた。彼らの夢は海外を旅して世界一の珈琲を探すことだ。
久しぶりに拓さんの淹れてくれた珈琲のレヴェルは格段に上がり、その口調は数多くの出会いと別れを重ねながら苦労と喜びを得た人ならではの優しさと重みがあった。
まずは日本を回って磨いた腕で、暫く東京で勝負してみるという。
自作のワゴンカーひとつで風の吹くまま気の向くまま。周りから見れば無謀にも見えるけど、ボクには誰よりもしっかり腰を据えてコツコツ進んでいる様に思える。
信念を貫くというのは、迷うことを否定せず悩むことを糧にしながら勝負を続けることだ。
東京のどこかで彼を見かけたら、是非、彼の淹れた珈琲を飲みながら話をしてみてください。それは豊かな時間を過ごせますよ。