発信する苦労と醍醐味


本日は母校でもある埼玉大学吹奏楽部の第51回定期演奏会でした。
今年から学生からの発信力の強化を部と取り組んでいるのですが、今回は有志の学生3名が制作したイラストレーションを使用してのビジュアル展開を試みました。終演後の感想を伺うと内外にとても好評だった様で、制作サイドとしてはまずはひと安心です。
学生とのアイデア出しから幾度かの意見交換や私からのアドヴァイスを経てそれぞれがブラッシュアップを進め、それぞれをどの場面で使用するかはボクに任せていただきました。
学生と選んだ共通のモチーフは、メイン曲であるバーンズの「交響曲第3番」の重いテーマでもあるバーンズの夭逝した娘・ナタリーへの思いとファンタジー、今回学生だけ(指揮も学生、しかもこのイラストの一つを担当しています)で挑んだ長生淳さんの「楓葉の舞」にちなんでの紅葉です。
彼女達が描いてきたナタリーの年齢(生後半年で亡くなっています)、表情、ポージングの違いは打ち合わせた訳ではないのですが、三者三様で楽しめます。
この3名は美術専攻の学生ではありませんし、また将来にわたってイラストレーションを生業とすることはないとは思いますが、外に向けて表現をアウトプットしていくことの大変さと醍醐味を体験してもらえたのではないかと思っています。
一介(母校なので敢えてこう書きます)の地方国立大学の吹奏楽部に在籍した数年の経験で得られるモノは、一部の変わり種を除いて、直接将来の生業や人生を左右するほど大きくはありません。
とはいえ、「相手に対して自分の気持ちを表現すること」「社会に対して何かをコミットしていくこと」「それらを直接のコミュニケーションによって獲得していくこと」は大人になる上で大変重要なことですし、芸術的手段によるトレーニングはとても効果的です。
ボクが彼らにお手伝いできることは多くはありませんが、例えば、こういったことを通じて(美術や音楽表現ということに拘らず)後進を育てていくという必要はあるなと、感じるお年頃になりましたよ。