水木先生の思い出

水木しげるの続・世界妖怪事典

水木しげるの続・世界妖怪事典

ボクが水木しげる先生とお仕事で関わりを持たせて頂いたのは、ただの一度きりで、それはそれは貴重な体験でした。
当時はまだまだ私も駆け出しで、師匠のアシスタントとしてシリーズの装丁を任されることも多く、この「水木しげるの 続・世界妖怪事典」もその一環でした。
とはいえ、水木先生からお送り頂いた手描きの装画にかかっているトレーシングペーパーを開封したときのトキメキといったらもう!
あの点描の一つ一つに込められた気迫と技術の高さに驚嘆し、仕事や時間を忘れて惹き込まれてしまいました(師匠に本当にいいつまで観てるんだと叱られた)。自分の手元を離れて印刷所に入稿されてしまうのが本当に惜しくて惜しくて!
ボクにとっては最初からこの世の人なのかどうかも判らない超越した最上級の妖怪神でしたので、ご冥福というのも不思議な感じではありますが、水木先生とその作品たちは、北斎や若冲のそれと並び称されてよい、日本の美観が生んだ宝であると思います。(ちなみに師匠はゾンビ映画が大好きでした。)