CD哀歌

音楽CDという媒体はやっぱり縮小傾向なんだなぁというのは、CDの印刷物周りのデータをプレス業者に入稿するときに痛切に感じます。入稿データの条件をみると5年くらいの仕様でないと受け付けない業者をホントよく見かける。中には10年前の仕様でないと入稿受け付けないってところもあって、かなりトホホ。で、この10年前というのは日本でiTunesなどのネット有料音楽配信サービスが始まった時期とほぼ重なり、5年くらい前というのは業者がその後、Adobe CS からAdobe CC(サブスクリプション方式の制作アプリケーションサービス)に乗り換えなかったことを意味する。多くのプレス業者は新たなシステム入れ替えなどの設備投資が出来ないんだろうなぁ。
こうなると若いデザイナーは、技術的な溝もあって、音楽CD制作などからドンドン離れていってしまうだろうなぁ。
アナログレコードやカセットテープのような「その形状=音が出る仕組み」っていうヴィンテージ・メディアとは違って、CDは基本的には配信と同じデジタルデータ(オーディオファイル)だから、メディアの形状が仕組みと直結していないわけなんだけど、結局のところ音楽CDのデザインの多くはアナログレコードのアートワークのフェイク的なところから抜けきれないままその終焉を迎えて行く気がします。
とは言っても、音楽CDパッケージにはそれはそれで魅力があることは変わりない。ジェルケースからディスクを取り出し再生機に入れスタートボタンを押し、アートワークを眺めたり、ブックレットをちまちま読んだりしながら音楽に耳を傾ける一連の動作には読書にも似た物語がある。しかしながら、この読書的な音楽鑑賞法も時代と共に消えていくのだろう。
ちょっと切ないなと思いつつ、次の時代の音楽のパッケージについて色々と思いを巡らしいる今日この頃であります。