はてしない物語



高校生の頃に後輩に貸したっきり30年くらい返ってこないミヒャエル・エンデの「はてしない物語」(上田真而子・佐藤真理子訳/岩波書店)を買い直しました。幸運なことにバーコードの表示のない(1990年38刷!)の版を手にいれることができたのですが、状態がとても良く、嬉しい。
この本は特製の布張と空押しが非常に美しい上製本の装丁もさることながら、2色刷の本文組版も美しく、手に入れた後に感銘を受けたケルムスコット・プレス(ウィリアム・モリス主宰)によるチョーサー著作集(写真奥)と同じくくらいの衝撃でした。
というか、いま沁みじみ見返してると、チョーサー著作集にヒントを得ているんですね、この本。
特に「はてしない物語」はこの造本であることに意味のある物語なので、本自体が放つ存在感が半端ないです。
本文組版や書体に興味を持つきっかけになったのは、この本と小学生の頃に読んだ窓際のトットちゃんかもしれない。そのくらい大事な本なのに、当時はその素晴らしさを知ってもらいたくて色んな人に貸しまくってました。
私の貸した本が後輩くんのところで大事にされていることを願ってやみません。