Standards And Me


新澤健一郎(p)さんのCD発売記念&50歳アニバーサリー・ライヴで新宿PIT IN へ。
ジーン・ジャクソン(ds)さん、飯田雅春(b)さん、という新作アルバムと同じトリオ編成。新澤さんのリリカルなピアニズムを軸に据えたこの極上のメンバーの手にかかると、ピアノ・トリオというのは、どんなにトリッキーなアレンジであっても、一聴パッションの赴くままに各々奏でられるインプロビゼーションであっても、アンサンブルとしての弾力性に富んだ室内楽であるということをマンマと証明して魅せる。
カメラマンの土居政則さんの紹介で新澤さんに初めてお会いしたのは今年の松の内の頃だった。ビッグアーティストが絶大な信頼を寄せる実力派ピアニストだし、とてもおっかない人なのかなと思いきや、大変気さくで素朴なお人柄ながらアルバムへの熱い想いを語ってくださり、とても良いひと時であったと記憶している。その後の写真撮影にはスケジュールの都合上立ち会えなかったのだが、土居さんが実に新澤さんらしいポートレイトを上げてくださったので、これはもうシンプルに新澤さんの手書きタイトルしかないと思い、何通りか書いていただき、それをシンプルに写真に乗せてみたら、ジャケットが出来上がってしまった。デザイナーが素材をひねくり回すより「ポンと置いたら出来た」が一番美味しい(余談ですが、新澤さんは建築工学を修めておられるので実はデザインもお上手なんです)。得てしてデザインとはそういうものだ。
昨夜のライヴで私にとっての白眉は2ndset冒頭でピアノソロで演奏されたエグベルト・ジスモンチの「七つの指輪」。ヴィラ=ロボスとダリウス・ミヨーが渾然一体となったような鮮やかな音楽が新澤さんの手で豊かに導き出されていた(後で調べてみたらジズモンチってナディア・ブーランジェに師事していたんですね。納得)。
CD:新澤健一郎 「Standards And Me」

Standards And Me

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