結論有りきのデザイン

僕は結論有りきでデザインするのが嫌いです。複数提案するなら推し案なんてモッテノホカ、どれに決まっても依頼者の判断が一番優先、恨みっこナシです。自分の中で「これは出来がイイな」と思うものがあっても、依頼者が欲していなければアウト。百歩譲っても自分が推すデザインを実現できないのはデザイナー自身の手腕に問題があったと反省するしかありません。

 
デザインって様々な他者との対話なので自己完結してしまってはお終いです。特に意見や視点や立場が違う人との対話が大事。絶えず他者の視点が入り込むからそれぞれのデザインに個性が生まれます。デザイナーだけがそのデザインを作り出している訳ではないとデザイナーはまず自覚しなければならない。

 
上手くいかないところ、まとまらないところ、破綻してるところ、ハプニング、そういう隙間にデザインの愛嬌と魅力が生まれる。だからデザイナーの思い通りに事が進む案件ほどショボい出来になる可能性が高いです。僕たちデザイナーは業苦と踊ってナンボだ。

 
その覚悟がないならデザインで飯を食うなんて思うな、とは言わない。ただ、いろんな業苦と踊りながらその覚悟を徐々に身につけなければデザインで飯を食い『続ける』ことは出来ない。そうでなければデザイナーなんて無理難題ばかりくるし(無理難題だから頼まれるんだし)、しょっちゅう梯子外されるし、唯々身体壊す辛いだけの仕事だよ、実際。