紙カタログの終焉

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IKEAの紙カタログが70年の歴史に終止符を打ってオンラインに完全移行する話を受けて、表現の転換点を見る想いでいます。
大型店舗の紙カタログの歴史は結構古くて、19世紀後半には百貨店のカタログが隆盛を極めますが、その初期において大活躍したのがエッチングやペン画によるリアルイラストレーションでした。その後、特殊な材料にしか定着できなかった写真が網点処理により紙の上で(疑似的に)表現できる様になるとその実質上の役割を終えて行きますが、当時のクオリティは今見ても驚嘆するものがあります。
そして今やそのハイクオリティな写真による紙カタログ自体がその役割を終えようとしています。視覚表現技法としてのイラストレーション・写真・デザインはどの媒体になってもあり続けるでしょうし、紙媒体による印刷表現はこれからも大事な情報伝達方法の「一つ」としてあり続けるでしょうが、転換点を見据え変化に対応するように我々も努力を怠らない必要はあります。
(写真は19〜20世紀の百貨店のカタログ・イラストレーションを集めたクリップアート集から)