書体が生まれる

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「書体が生まれる」(雪朱里/三省堂)読了。就寝前に寝落ちを繰り返しながらだったが大変な読み応え。
僕が仕事を始めた頃は既に写植も最終ターンでDTPの黎明期だっただけにすっぽ抜けていた和文活版の知見が一挙に深まる。しかし活字の歴史に震災と戦争がここまで絡むとは遠い日々出来事ではない。
そしてだ。デジタルフォントの時代であっても、例えば、我々が何気に喜怒哀楽を呟くのに使うその文字データであっても確かに「誰か」によって一文字一文字丁寧に丁寧に作られたものだ。そう思い直して周りを見渡すと絶句すると思う。我々は何という数の誰かが紡ぎ出した文字に囲まれて生きているのだろう。
我々が気軽に「フォント」と呼んている物がかつて実体を伴った「活字」としてどのように現れ、それがどのような技術革新を経て現在に向かっていったのか。その革新のコアとなったベントン彫刻機を巡る壮大な物語がここにあります。