アルト52万円(但しオートマ)

義母から珍しいモノをいただきました。

スズキ初代アルト[オートマチック]の静岡版広告に義母がモニターモデルとして登場した新聞広告の校正刷り・・・だと単なる家族自慢の一品なのですが、これは包み紙でして、珍しいモノというのはその中身です。

はいコレ。何だかおわかりでしょうか?
その校正刷りの新聞印刷用の版です。亜鉛で出来ておりジンク版と呼ばれています。今でこそ新聞印刷もデジタル入稿からフィルムレス(CTP+サーマルプレート刷版など)のダイレクトプリントが主流になりつつあり、版そのものを人が手を使って職人技を披露する事はありませんが、かつては新聞印刷と言えば活版&写真製版でした。当時の広告制作は、指定紙(+写真やイラストなどの反射原稿入稿)→写植版下→写真製版(写植版下と反射原稿の網点分解を合体&指定通りに網掛け)→刷版(ジンク版はこの部分に当たります。)という手による工程を経ていました。
広告は活版で文字を組むのが主流な本文部分と違い、グラフィカルな表現が多いため、写真やイラストや特注のロゴタイプなどの刷版制作に適したジンク版で制作されて、新聞本文の刷版と統合されました。

保存状態がナカナカよいため、凹凸とこの光沢感がたまりません。

写真部分もこういう風に網点が細かい凹凸で表現されます。美しいですね。

表面が緑色に輝きます。

昔はよく「刷版にまわっちゃったらもう直しできないんだからねー」って叱られましたが、刷版以降に修正が入ったのでしょう。一部をくりぬいてごっそりジンク版を差し替えてます。裏から透明のテープを貼って固定してます。あー先輩に騙された。(すんげー文句言われるしお金かかるんだろうけど、製版し直しよりゃコストは安いよね。)

元々差し替える部分として作られてそうなところもあるんだけど

白抜きのエッジがイマイチに上がっちゃってます。
とはいえ、今の印刷技術にないインダストリアルなパワーを感じる逸品です。
言海と並び、我が家の家宝にさせていただきます。