『アステロイド・シティ』観たよ

ウェス・アンダーソン監督の『アステロイド・シティ』をレイトショーで鑑賞。期待に違わず最高だったのだが、ストーリーのネタバレとは別のデザイナー視点で作品を紐解くとすると、今回1950年代を表現するのにあたって監督がたどり着いた色彩感とビジュアルイメージの一つは、当時の人気雑誌『LIFE』などを彩ったイラスト広告群なのだと思います(もう一つはチャック・ジョーンズ版ルーニー・テューンズやティム・バートンが「マーズ・アタック!」などで魅せたB級SF映画へのパロディとリスペクト〜のリスペクト)。

イラストで描かれた夢のような生活・家族・友人・恋人たちとの日々とその傍にある新商品。まぁ実際は嘘っぱちの世界ではあるのですが、その嘘っぱちの中に込められた人々の『個々の』願いや想いや哀しさや優しさ。嘘っぱちでないのに嘘っぱちと隠されてしまったもの。嘘っぱちの中にある嘘っぱちでないもの。劇なのか劇中劇なのか劇中劇中劇なのか、あるいは演じ手や監督の本心なのか。そこに愛はあるんか。

そんな映画です。(パンフレットの傍の紙面は「夢の'50s(2)アメリカン・メモリー/平凡社 1988」より、当時のLIFE等の雑誌広告から)

asteroidcity-movie.com