喰われないように

夕刻、村田陽一さん、古賀慎治さん、池上 亘さん、黒金寛行さんによるトロンボーン・カルテット「4 Bone Lines」のCDデザインと楽譜浄書の打ち合わせをするために、レコーディングが行われている銀座の名門スタジオにemixと伺った。途中有楽町イトシアで洒落たどらやきを見つけたのでそれをお土産に。
調整室でしばらくレコーディングを聴いた後、メンバーの休憩時間をお借りして、まずはデザインのプレゼンを始めた。というより今回はリサーチといった方がよいかもしれない。持って行ったラフデザインはメンバーにとって「どういったものが《ナシ》なのか」を確認するためのツールだったからだ。
ファーストアルバムのジャケットデザインというのは本当に難しい。バンドとその音楽が世の中的にどう認知されていくのか、本当の所、出す方も売る方も判らないからだ。結果、後から見返すと内容とデザインに何か齟齬があるね、ってモノになりがちなのだ。
村田さんたちは研究熱心なので、元々多くのジャケットデザインに触れている。だから「こういう風にはしたくない」という《ナシ》な意見はまずハッキリと持っているハズだ、と思ったのだ。それが有効なヒントになる。これを受けて次は本当のラフデザイン制作に取り掛かかる。つまり、今日はこのアルバムの『0メートル地点』をボクなりに見つけるために、どうしても必要な日だったのだ。
お願いして、打ち合わせ後も調整室に残ってデザインのラフスケッチを描かせていただくことにした。レコーディングの空気を直に感じながら、出来るだけ早く自分の頭にフィードバックさせたかったからだ。もう何でもいいから描く。まずは赴くままに他の人が見ると(自分が見ても)「なんだこりゃ」な線でもいいから描く。ガリガリずっと描いてると、何かが見えてくることが多いからだ。
一流の音楽家の仕事と対峙する時の、その独特の空気。自分たちを、さらなる高みへ『追い込んでいく』緊張感。両足でしっかり立っていないと、音に喰われてしまいそうな気迫。それをビンビンと感じる。兎に角無心でエンピツを走らせる。
今日は朝から長時間に渡るレコーディングだそうだ。そして本日の終了は夜10時を回っていた。でも音楽への姿勢は一貫して精密で大胆だった。村田さんたちは当然と言うかもしれない。でも、その恐ろしく高いポテンシャルはプロフェッショナルとして見習うべき所大だ。
彼らはミュージシャンでボクはデザイナーであり、アウトプットされる形は違えども、何かを創り出す時の方法論やテンションは揃えておかなければならない。
ここから、ボクも彼らの高みにデザイナーとして同期していきたい。
次には「やるねぇ」ってもんが見せられるといいんだけど。
 
emixも譜面に関して意見交換。後日村田さんと決定稿を見ながら詳細な打ち合わせをするこなった。
 
※アマチュア・ヘナチョコ・バストロ吹きとしての感想はまた今度にします。もうね、4BLの皆さんの住んでおられる方角を全て調べてですね、これから一生、そっちに足を向けない様にして寝なければならないな、そんな感じです。