4月1日

ベルナルドから電話がかかってきた。ボクはデザイナーになる前にイタリアはクレモナのトロンボーンの工房で修行していたことがあって、その時の元同僚だ。今は工房をある程度任されている。腕は一流だが女にはだらしないヤツで一度に5人の娘からケリを入れられるのをサン・アガタ教会の先にあるピザ屋で見たことがある。
「Otoshimono conosce Zell?(otoshimonoはzellというヤツを知っているか?)」
あぁボクの後輩だが何で知ってるんだ、と答えると今度工房に見習いに来るという。ヘぇ偶然だな、世界は広いのによりによって日本からクレモナの工房とはねぇ、というと「otoshimonoが教えたんじゃないのか」という。
いぃや今知った、まぁよろしく頼むよ、と電話を切って彼のブログを開けると本当にそう書いてある
あの工房のマエストロは本当に厳しい人で、ボクなんかトロンボーンをまともに作らせてもらえるようになったのは入門から7年たってだ。ただ、その時にはいつの間にか一通りのことは出来るようになってて、マエストロには本当に感謝している。その後、いろいろあってボクは帰国してグラフィック・デザイナーに転向したんだけど、あの時マエストロにたたきこまれたモノを作るときの心構えなんかは本当に今の仕事に生きている。
愛嬌はあるが多少線の細いzellが頑固な男ばかりの工房でやっていけるかどうか少し心配だが、久しぶりに向こうから馴染みの味のモスタルダでも送ってもらおうかと思う。