レッスン

emixにイラレ*1を教える。浄書の仕事で図版を作ることが増えてきたからだ。
ボクにとっては15年前に出会い、次の年に今の事務所に入ってから*2ほとんど毎日使い続けているソフトウェアなので、今では何をするにも雑作がないことなんだけど、ほとんど触れたことがない人にとっては相当な難物である。
emixは普段イラレを仕事でFinale*3から入稿用にイラレのEPS書類に変換したり微調整するくらいしか使っていない。だけど「手でギターのネックを押さえる図版を作ってタブ譜と対応させて」「ピックを持ってる手を」みたいな話になるとちょっと勝手が違う。
代わりにボクが作ってしまっては何の勉強にもならないので、まずは携帯のデジカメで「手」や「手でギターのネックに見立てた棒を持った」写真を撮り、Macへ送り、イラレに貼付け、トレースしてもらう。ところが、この流れを説明するだけでも一苦労。初心者には下絵もないまま美しい手の図版を作ることは困難だ。けれど初心者ほど変に楽しようとするのでこの過程を面倒くさがる。ダメヨダメヨ。
で、実際のトレース作業に入ってからが大変。emixは器用なので飲み込みは早いんだけど、それでも「今回のミッションで下絵写真のどの情報が必要でどの情が不要か」を見極めるには至らない。だから丁寧に手のトレースをしてしまう。よってパッと見「バランスの悪い絵」が出来てしまう。
グラフィックデザインで重要なのは情報の取捨選択である。トレースにおいては正確に写し取ることと「それらしく見える」ことは別問題なのだ。
遊びだったらイイヨイイヨで適当に笑ってオシマイなのだが、仕事なのでそうは行かない。普段の生活会話だったら確実に怒りだすキツさでダメ出しの連発をしたが、emixもそれほどブー垂れずに頑張っていた*4
まだまだ道は遠いが、こればかりは経験値が必要なので、いっぱいトライ&エラーをして培ってほしい。
(図は撮った画像、赤い線はemix作、青い線は試しにボクの作例。)

*1:Adobe Illustratorというドローイングソフトの略称。イラストレーターと書くと職業のイラストレーターと紛らわしいからイラレと書くけど、ボクは好きな略称ではないです。

*2:当時はVer. 3.2Jでした。OSは漢字Talk 7.0。マシンはLC-475だったなぁ。プレビューは確認しか出来ないのでアートワークの状態で作業してたなぁ。でも正確にアートワークを作成するクセはこれで身につけた。それにしてもノロかったんぁ。あぁ、そんな思い出話は超長くなるのでまた今度

*3:楽譜作成ソフト

*4:短気なので多少はブーブー言ってた