未発表

今年のエイプリルフールにエントリーしようと頑張って書いていたのに、書いてるうちに次の日になってしまったので嫌になって放っておいた文章を見つけました。改めて読み返すとかなり悪質な嘘っぱちなので、本日、ウソンコだとコトワリを入れた上でエントリーしておこうと思います。

トロンボーンはベル部分の「TROM(トロン)」とスライド部分の「BONE(ボーン)」という二つの楽器が合体して出来たという話は有名ですが、かつてそのようにして開発された木管楽器「クラリボーン」と「フルトボーン」が存在していた事実はあまり知られていません。
18世紀後半から始まる産業革命によりバルブやキーシステムが発達するまで、管楽器の世界は弦楽器に比べて大きく遅れを取っていました。
17世紀においてトランペットの前進である「TROM」にトルコで水牛の骨と角で作られたスライド式の笛「BONE(ボーネ:英語で骨を表す。日本語の“ホネ”の語源でもある)」を組み合わせて作られたトロンボーンはイタリアで発達し、音階が無理なく出せることから教会でコラールの伴奏に使われました。当時は楽器に指穴などを開けたリコーダーやバロックコルネットなどは息漏れが酷く演奏に困難を窮めたため、トロンボーンは大変重宝され、そのシステムの転用がされたのも無理ありません。
こうして金管楽器であるトロンボーンのほか、木管楽器として一枚リードのクラリボーン、笛型のフルトボーンが現在のベルギーで開発されました。
クラリボーンはモーツァルトに愛され、有名なクラリネット協奏曲も元々はクラリボーンのために書かれたものでしたが、すべて木で出来ていたクラリボーンはスライド部分に水が溜まりやすいため傷みが早く、キーシステムの登場によってやがてクラリネットに取って代わられてしまいましたが、指をずらしながらグリッサンドするポルタメント奏法はクラリボーン時代の名残とされています。そしてラプソディー・イン・ブルーの初演の時、ポールホワイトマンは楽譜を見るなり作曲者のガーシュウィンに「あぁ、早く言ってくれれば、オレは大英博物館からクラリボーンを借りてきたのに!」と叫んだ話は有名です。
フルトボーンの方はポルトガル人によって南米にもたらされ簡略化されてスライドホイッスルとなり、ラテン楽器として現代でも残っています。
 
オットー・シモン著「四月馬鹿のための音楽入門」(天馬出版刊)より

中にはかなりマニアックな嘘も織り混ぜてます。音楽通の方はそれが何処なのか、探してみて下さい。