約束

g-sanとは大学の吹奏楽部で知り合った。
共に音楽三昧の日々を過ごし過ぎ、共に留年して大学を卒業した。
その後、
ボクはアルバイトからデザイナーの道に迷い込んでヒーヒー言ってた頃
g-sanは就職難の時代にせっかく就職した医薬品のメーカーを辞めてしまった。
なんでも医者になるという。
またセンター試験から大学を受け直すという。
頑固なので言い出したらきかない。
ボクもかなり乱暴な道を歩んでいると思ったが
g-sanはそれ以上だった。
しかも彼は翌年大学に受かってしまった。
こっちも嬉しくなって
「お前が開業した暁には病院のロゴとかオレが考えるから」
「おう! そのときはヨロシクな!」
と勢いで約束してしまった。
まだアルバイトに毛が生えたくらいの駆け出しデザイナーと
医大に入学する前の男がそんな約束したんだから
今から考えたら無謀というか、莫迦である。
 
で、今日そのg-sanから電話がかかってきた。
全くもって声を聞くのも10年以上ぶりである。
 
「久しぶり。あのさ、約束、覚えてる?」
「勿論サ! おめでとう!」
 
言わずもがな。お互いの約束がやっと果たせる幸せ。