スタートライン

ご招待を受けVIVID BRASS TOKYOの定期演奏会に行って参りました。

今回はフライヤをデザインしている最中にニュージーランドと日本で大きな地震があったりして、他のコンサートの事情に漏れず、開催の是非は勿論、変更点も多く、運営も大変であったろうとお察しします。
我々、文化の送り手というものは、問題提起と価値観と楽しみを提案し続けねばなりません。これをも「無駄」だと切り捨てる風潮が震災発生時には多分にあって、実際この先の開催イベントでも早々に中止を余儀なくされた物まであります。
今の時代は未来の日本の歴史年表でも、ひょっとしたら塗り分けが違うくらいの新しい時代に突入するかもしれません。それほど物理的・心理的な価値観が転換しようとしていると思います。
そういう中でさえ我々は絶えず新しいモノを送り出す努力を続けねばなりません。それに足りる仕事だとそれぞれを信じて。
ちょっと話は逸れましたが、そんな中でも、何にしても今回のVBTの成果はフィリップ・スパークの委嘱新作初演だったと思います。演奏団体の名前が関された曲というのは確かに他の団体が演奏しにくいのですが、まずは自身でレコーディングや配信、演奏する舞台数を増やすなどをしてこの曲の素晴らしさを世にもっと紹介するべきだと思います。そしてこの歩みを止めず、プロバンドとして今後も多くの新作初演に取り組んでいくべきだと思います。*1
パイオニアはみんなが通る道を自ら切り開くからこそ、です。偉大なフィリップ・ジョーンズ・ブラス・アンサンブルがしてきたように。偉大なブリティッシュブラスの作家の期待がかかっているのですから。
そういう意味で、日本のブリティッシュブラスを牽引できるかどうかというスタートラインに今、VBTは立っていると思います。

*1:実際、東京ブラスソサエティでは日本の作家のみの演奏会を企画するなど、独自の取り組みが始まっている様です。