低音デュオ 4th LiIVE

門仲天井ホールにて松平敬さんと橋本晋哉さんの低音デュオのLIVEを聴きに行ってまいりました。松平さんはアルバム《MONO=POLI》で平成22年度文化庁芸術祭レコード部門優秀賞受賞をされている今話題の声楽家、橋本さんはテューバはもとよりセルパンやバロックトロンボーンでも活躍されている内外でも評価の高い低音管楽器奏者です(ボクは彼のことを密かに《テューバ界の怪人》と読んでいます。)。
演者はたったこの声と低音楽器の二人。「普通は何やんの?」とお思いになるでしょう。ところが彼らが紡ぎ出す音の世界は、時に無限の広がり、時に窮屈なくらい狭くなり、時に時間や感情を分裂させ、時に繋ぎ、入れ替えます。
プログラムは松平頼暁さん《Rotaion I》、山根明季子さん《Dots Collection No.12》、難波研さん《Silent moon》、杉山洋一さん《Fanfare》、木下正道さん《Twin Prime》の間に、昨年ポローニャのモンテーノ大学図書館で発見された(12〜14世紀の物と推測される)奇書『モンテヌス写本』より抜粋された5曲を間に挟む形で進行されました。
ボクはすっかり音楽に魅せられてしまったので、各曲について感想を書くと本当に長くなってしまいますから今回はやめておきますが、演者と作家が共同で表現を紡ぎ出す事がコンテンポラリの魅力であるなら、そういった音楽(という枠も越えているが)を存分に楽しめるLIVEだったと思います。
ところで、いわゆる『一流の演奏家』はこの日本にも沢山いらっしゃいますが、『一流の音楽家』である人はそんなに多くはないと思ってます。さらにその枠も越えて『一流の表現者』である人はもっと少ない。彼らが次々と名作・話題作を産み出す所以は彼らが『一流の表現者』であるからで、絶えず作(曲)家にインスピレーションを与え続けるからです。
そういった現場を目撃(体験)するにはやはり、演奏会に直に足を運ぶ以外ありません。
最後に、彼らへのリスペクトとして、モンテヌス写本の修復画像の一部を関係各位の許可を得て公開し(笑)、本日の日記を終えようと思います。