音楽家のためのデザイン講座〈第0回〉


音楽家の方々でも、自分が主催したり出演したり自作が発表される演奏会の告知用チラシを作成された経験のある方は多いと思います。当日のプログラム作成もされている方もいらっしゃるでしょう。
勿論コンサートやリサイタルというのはお金がかかる事業ですので何とか経費を圧縮したいという事情もおありでしょうが、もともと音楽にせよ何にせよ表現することがお好きな方たちです。中にはそういった制作物を結構楽しんで自作されている方もいらっしゃると思いますし、そういう噂を聞きつけた他の方から依頼される方もいらっしゃると思います。しかし、そうはいっても本業は音楽家ですから、ボクのようなデザインを本業としている者のように年がら年中デザインをしている訳にはいきませんし、どうすればより上手いデザインが出来るか悩んでいらっしゃるケースが多いということを最近知りました。「最近知りました」と書いたのは昨年末、twitter上で音楽家の方とお話をしていた折に「デザインの事で悩んでいる事が多いので一度色々教えて欲しい」と言われ、気がついてみれば「私も」「私も」とどんどん手が挙がってきたからです。
そういう訳で本日、ボクが講師となった小さなデザイン講座を一度開いてみることになりました。もっともボクはデザインの先生なんて今まで一度もやったことがないので、あくまで〈第0回〉とさせていただき、今回はコンサートフライヤ(チラシ)の作成の基本についてを中心にし、逆に普段どんなことにお悩みなのかをお伺いしながら進めさせていただきました。
講座に参加された方は、日本のみならず海外でも大変評価の高い作曲家さんお二人と、自分でもレーベルを主宰され、レコーディングエンジニアとしても活躍されているプレイヤーさん、作編曲もされる楽譜浄書屋さんお二人です。つまりいずれもプロフェッショナルの音楽家さんたちですが、ボクが仕事で使っているデザインソフトを既に愛用されているという部分では普通の音楽家さんとは少し違っているかもしれません。
とは言いましても主にお話させていただいたのは、デザインソフトのスキルの話ではなく「《情報を整理整頓して揃えること》がフライヤ作成(のみならずデザインという作業)の8割を占めている」ということでした。この点を素通りしてヴィジュアルのTIPSばかりに走ると、まるで要点を欠いた訴求力のないフライヤが出来上がってしまいます。皆さんたいへん納得していただいたようでとても有り難いです。その後はボクの作例をお見せしながらデザイナーの現場の仕事についてお話させていただいたり、それぞれ持ち寄っていただいた作例を見せて頂きながらお悩みをお伺いしたり、解決方法を具体的にレクチャーさせていただきました。
講座の後は皆さんと食事をしながら、時間内にお話出来なかった本の紹介やそれぞれのお仕事の話題などを聞き、たいへん有意義な時間を過ごす事が出来ました。
「次は是非〈第1回〉を!」との声を頂きましたので、和やかな雰囲気はそのままに、講座を始めたいと思います。