役目

本日はさいたまファンファーレクラブの練習日。物理的にムリヤリ仕事場から引き離されるこの時間はやはりメンタルヘルス上も良い。どっぷり音楽のことだけを考えていい時間なんて贅沢だ。
本日は学生クンがさらに2人増えて4人来てくれたので、10人越えの大編成モノもさらう。ここ数回は学生クンが来ているので、様々な公演に向けてのプログラミングを考えての練習以外にも、大編成ブラスアンサンブルのスタンダードな曲目に重点を置いてさらうことにしている。
というのは、最近の吹奏楽部に在籍している金管奏者の(一般大学の)学生にとって、吹奏楽連盟主催のアンサンブルコンテストの弊害からか、8人を越えてしまう編成のブラスアンサンブル曲は馴染みが薄いらしいのだ。ヘイゼルの猫の組曲ですら忘れ去られようとしている。
アンサンブルコンテストで、指定が8人を越える楽曲を、著作権保持者の許諾を得ず(その訂正譜面も提出せせず)に8人で演奏することを連盟も禁じているため、かつて盛んに演奏された10人編成のメジャーな譜面をゴニョゴニョして8人で演奏されることが少なくなっているし、日本の吹奏楽分野に力を入れている楽譜出版社やレーベルから出される楽曲の殆ども、ここ10年で完全に「アンコン仕様」にシフトしてしまっていて、邦人作家によるコンテストピース(としても、編成・演奏時間共に使い易くなっている譜面)の方が学生諸君にとってもメジャーになりつつある。
コンテストという競技会においてレギュレーションを遵守するのは当たり前だし、それに則ったコンテストピースが出版されたりするのは悪いとは思わないし、邦人によるブラスアンサンブルの楽曲が沢山発表されるのも良い事だと思っている。しかし、ブラスアンサンブル曲に編成や演奏時間に拘束されたコンテストピースばかりが増えて欲しいとは思わない。カタルシスやインパクトやノスタルジー(焼き直しという意味で)のみではない、豊かな表情(1曲の間に急緩織り交ぜてあるという意味では全くない)を持った様々なジャンルとスタイルの魅力的な楽曲をもっと楽しみたい。
加えて、コンテストピースの弊害によって古今東西の良質なブラスアンサンブル作品が鑑賞されなくなったり演奏されなくなったりするのはシノビナイ話だ。
ボクたちSFCは大編成ブラスアンサンブルをメインに演奏していく団体だし、新しく仲間になってもらえる若い学生クンたちには、ステキな大編成の(もちろんそれ以外の様々な編成とスタイルの)音楽作品をどんどん吸収していって欲しいと考えているし、彼らにそういう啓蒙をするのもボクたちの役目だとも思ってる。そして余力があれば、そういった楽曲もこちらから発信して行きたいと思っている。