カゲキなハナミ

この土日の上野の人出は合計50万人だそうです。昨年は自粛ムードでした分と、桜の満開のタイミングがドンピシャだった分、みんな嬉しくなって出て来ちゃったんでしょうね。頭上は桜の雲、下は人の海。

といっても、花見に上野に来たわけでなく、バストロンボーン奏者の黒金寛行さんが数日後にはドイツに留学してしまうので、その前にN響で演奏している姿を見届けておこう思って*1彼に問い合わせたところ、「東京・春・音楽祭ー東京のオペラの森ー」の千秋楽である《タンホイザー》に乗るとのことで、お土産持って東京文化会館へ行ってまいりました。

実はワタクシ、演奏会形式であれ何であれ、生でオペラを観劇するのは初めてでした。しかし今回の演出は演奏会形式とはいえ、舞台上段には左右幅一杯のスクリーンがあり、ここに舞台セット風のCGアニメと歌詞の翻訳が投影される仕組みになっていまして、歌手の方々も多少の身振り手振りはするものですから、醍醐味も結構伝わってきます。それに本公演ならピットに収まって見えないはずのオケが演奏会形式のためバッチリ見えるのですから二度美味しい感じです。黒金さんのみならず、佛坂さんなど普段からお付き合いのあるプレイヤー諸氏の神妙な面持ちもチラホラ見えてとても楽しい。
それにしても途中30分程の休憩を二度挟むとはいえ、三幕(上演時間三時間!)音楽を演奏し続けるというのは編成も大掛かりですし、大変な気力がいるものです。最後の音が鳴り止むとき、こういう舞台に立ち会えるのは有り難いなぁと思うと同時に全出演者とスタッフの皆さんにオツカレサマと精一杯拍手を送りました*2
ところで、黒金さんの演奏を聴きに行くつもりで大して深く考えずに会場に向かったのですが、会場の異様な熱気と終演後の「ブルァブォォオオ〜〜!!」の嵐と矢鱈派手にアピールするスタンディング・オベーションでやっと気付きました。そう、これはワーグナーのオペラなのです。つまり、阪神や浦和レッズのサポーターに輪をかけた熱狂的集団〈ワグネリアン〉の巣窟だったのです。ブルックナー公演の時も熱狂的ファン〈ブルオタ〉を見ましたがそれ以上。さすがブルックナーが師と崇めた作曲家は格が違うなぁと妙に納得してしまいました。
終演後に黒金さんと楽屋口で落ち合い、お土産を渡して談笑して握手して別れました。あぁ、オイラもドイツ行きたいなぁ。
その後はotoshimono家訓「せっかくだから」に則り夜桜見物。

提灯でライトアップされた桜もまた格別にイイ。どんちゃん騒ぐ花見客も気分を盛り上げてくれる演出の一つです。

不忍池に降りemixとビール片手にヤキソバ片手に弁天堂の露店をヒヤカしてプラプラしました。後ろに高層マンションが建ちならぶ様はまさに21世紀の風情です。
アメ横でもうイッパイやってから帰ります。

*1:別に一年間留学するんであって辞める訳じゃないですよ

*2:終演後に佛坂さんと黒金さんに会ったのですが、それぞれの第一声が「長くて疲れたでしょう」だったのがウケた