メカジキのグリル、オリーブレリッシュとキノアサラダ


一緒に食事をしていた年下の友人に「この前食事したときに何であんなに『すみません』を繰り返してたの?」って聞いたら「あの頃経営の本を読むのが好きで、なんかの本に〈仕事の出来る人の条件〉みたいなのが載ってて、自分がどれもこれも当てはまらなくてダメな人に思えて、ワタシ、ちゃんと話題提供できないし・・・何だか申し訳なくなっちゃって」ってメカジキを切り分けながらポツリという。
「そっか・・・でも・・・そういう本に書いてある〈出来る人〉が人として優れてる訳でも何でもないよ。アナタは確かに話題が豊富で興味に対してドンドン突き進むタイプじゃないし、レスポンスだって良くはない。けど、お互い言葉少なくてもストレスがなくって、相手がリラックスして接する事が出来ると感じるのであれば、それこそ優れてると思うしナチュラルだと思うし・・・それがアナタの良さだと思うんだけど」
〈仕事の出来る人〉=〈人格者〉でもなければ、=〈一緒に過ごしていて気持ちのよい人〉でもない。人格というのはデコボコだし、そもそもお互い辻褄が合わないし。だからこそ、そのデコボコ同士の間に出来る色んなスキマの形を楽しめる訳で。そのスキマの形をお互いに心地よいと思えれば、その関係はとても良い関係になる。その形が仲間であったり友人であったり恋人であったり家族であったり・・・様々な形になる。
「そっか・・・そうですね!」
笑顔を取り戻してくれたその子は、美味しそうにメカジキにキノアを乗せて頬張った。