古巣

デザインの師匠の娘さん(今は師匠が立ち上げたデザイン事務所の社長さん)がご入籍されたお祝いを持って2年と9ヶ月ぶりに古巣のデザイン事務所へ行って参りました。
師匠からはかなり前から「キミは云わば免許皆伝だから、いつでも独り立ちして構わないし、ボクも引き止めない」とは言って頂いていたのですが、なかなか踏ん切りがつかずに数年が過ぎてしまっていたところ、他の様々なジャンルの尊敬する諸先輩から「40になる前にその後の20年何をすべきか考えて準備をした方がイイよ」とのアドヴァイスもあって、2010年末(30代最後の年)で16年お世話になった事務所を去ると決めました。
そのとき、キチンと一人前になったら報告のために改めて事務所を訪ねようと思っていたのですが、師匠が昨年の春の前に天界に自分だけ事務所を移転しちゃったり、ボクも思う所もいろいろあって、なかなかタイミングが測れずにマゴマゴしていたのです。
そしたら、現社長さまから「お祝いの品をスタッフのみんなにも見てもらいたいので、よかったら事務所へどうぞ」と言ってくださったのです。
で、当日。平静を装っていましたが、事務所の入り口に立って「あのぅ・・・」とか言う瞬間は、もうMAXで心臓バクバクでした。古巣はビルのフロアこそ変わっていたものの、以前と変わらぬ雰囲気でしたが・・・
打ち合わせ用の間に通され、ご挨拶のあと、新婚のお二人にケーキを贈呈し、お話させていただきました。現社長さまとは、実は彼女の卒業記念リサイタルのデザインをさせて頂いたことがあり(社長さまご本人はメゾソプラノ歌手の顔も持っているのです)、その頃の思い出話などもさせていただきました。
その後、以前は同じスタッフとして過ごした仲間と再会し、話もはずんでしまって、すっかり長居をしてしまいました。こういった粋な計らいをさりげなく用意していただいた現社長さまご夫妻と、あたたかく迎えていただいたスタッフの皆さんにも最大級の感謝です。

さて、お祝いというのは、おかしさんでスペシャルオーダーしたケーキです。旦那様がチェンバロ奏者でもあるので、チェンバロのケーキなのです。これはおかしさんしか創れないケーキなので、今回はかなりワガママを聞いていただきました。新婚のお二人のみならず、スタッフのみんな喜んで頂けたようで、おかしさんにも感謝しきりです。
やっと、古巣から独り立ち出来た、と思える日でした。