試論(まで行ってない)

山本参議院議員が園遊会で天皇陛下に手紙を渡した件で物議を醸し出していますが、彼の行動そのものより、彼の行動に対する周りの反応が、どういう立場の意見の持ち主であっても概ね批判的だったということに大変興味を覚えました。
日本の皇室は今日まで続いている世界最古の王室(皇統)であり、直接統治の古代から武家社会などを経て立憲君主制に至る現代まで、政治体制がどんなに変わり、象徴天皇制となった今でも、その威厳と社会的影響を日本国民に対して与えて続けています。これは統治制度の転換で王室の地位や系統が変化し続けた他の国々と比べても大変希有な例なのだそうです。このことは皇室、というより、日本という社会集団が2000年前後にわたり、時に強固に時に緩やかに維持してきたシステムの軸足のひとつなのかもしれません。
今回の問題は、山本議員がそのタブーに切り込んだという訳でなく、寧ろ、彼自身さえもその心理的影響下に大いにある中だからこそ起こった騒動です。私も含めて殆ど全ての日本人が、どういう立ち位置の人であれ、天皇という立場がこの日本社会においてどういう所にあるのかという一定のふんわりとした共有意識が、それぞれの意見の出発点になっているからです。
日本人以外の人から見れば「王室主催のガーデン・パーティで、ある代議士が王様に手紙を直接渡した」という話になりますが、「これが何故問題になり、様々な立場の人からの意見が概ね批判的なのか」を彼らでも納得出来るように簡単に上手く説明しろ、と言われると結構難しい話になるのではないかと思うのです(勿論、私も上手く説明出来ません)。ここが日本という国の大変興味深い点なのではないかと考えているのです。