氏神


彼は犬であって当然人間ではない。しかも犬の11歳と言えば還暦くらいなのだそうで、ボクの実年齢よりも断然年上。年功序列ではないのだが、我らが事務所の社長を務めておられる。
しかしながら彼の思考はもうすぐ6歳になる姪と然程変わりない。彼自身も自分は犬であることは判っているらしく、その機敏な動作や感覚の鋭さは犬本来の持ち味を十分に備えており、分別は立派な成犬として達観した部分もあるが、その無邪気で愚迂多良な生活態度や感情表現はこの10年間ずっと6歳児。これからもずっと6歳児。
彼が我が家にやってきた輝かしいその日から、彼を看取るその日の事を考えては切なくなる。そういう気持ちを含めて、彼と過ごす日々自体が我々に精神的な深みを与えているのだと思うと有り難くもなる。そういう意味では彼は氏神様でもある。
で、なんで今日は彼の写真を撮ったのかというと、別に切なくなったからではなく、数ヶ月ぶりにトリミングに行ったので近々の社長ポートレイトとして。今朝までは犬というよりウスヨゴレた毛玉でした。